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間柴の雑念

あなたがこのブログを読んでいる間、他の人は前に進む

幼いながらも「自分の変え方」を学んだ

小学4年生のころ。

 

「ただいま。」

 

1階の玄関から、

仕事を終え家に帰ってきた父親の声がした。

 

 

 

帰ってきたんだな、と軽く認識し、

2階の部屋にいる自分の意識は

すぐテレビゲームへと戻る。

 

そしてファイナルファンタジーⅧを再開した。

 

魔女の騎士・サイファーから

ひたすらオーラをドローしていた。

 

 

すると、

何者かが部屋に入ってきた。

 

ポーズボタンを押して右へ顔を上げると、

 

 

「これを、毎日1ページずつ解いて。」

 

 

と言いながら、

片手で何かをこちらに差し出している。

 

問題集だった。

 

A4サイズほどで、カラフル。

そこまで分厚くはない。

 

それぞれ、

 

「よくわかる算数」

 

「ゼロから学ぶ理科」

 

といった具合のタイトルだったと思う。

 

 

「解いたら夜、お父さんに見せなさい。今日からやって。」

 

 

声は普通だった。

 

ただ、笑っているのか怒っているのか

分からない表情だった。

 

スーツ姿の父は

そのまま部屋から出て、階段を降りていく。

 

 

このミッションは、かなりしんどかった。

 

やることが、ではない。

 

「怒られる」

 

これが何よりの懸念点だった。

俺はかなりのバカだった。

 

 

父親の怒りに触れまいと、

いつもビクビクしながら生活していた人はいるだろう。

 

自分もその一人だった。

 

普段は度が強いメガネをつけている。

 

だから、メガネを取ると

目つきがガラッと変わる。

 

温厚な印象だったはずの目が

一気にキツくなるのだ。

 

それでいて、よく怒鳴る。

 

加えて、勉強については特に厳しい。

 

 

 

だから瞬時に

 

 

解答を提出する

学力の低さがバレる

メガネを取り、怒鳴られる

 

 

というシナリオが展開されることは

容易に察知できた。

 

しばらく、茫然とした。

 

テレビからは戦闘BGMが流れているはずだが、

よく聞こえない。

 

 

怖い。

 

 

とにかく怖い。

絶対に怒られたくない。

 

二冊の本が

右手に重くのしかかっている。

 

とりあえず、問題集は床に置き

ゲームを再開した。

 

しかし、うまく没頭できない。

 

床に置かれたカラフルなイラストが

たまに視界を邪魔するのだ。

 

そちらに目を向けると、

 

目鼻と手足がついた鉛筆が笑っている。

 

その隣に、

目鼻と手足がついた三角定規がいる。

 

その滑稽な二体のもとで、

自分と同い年くらいの男の子が

両手をあげてはしゃいでいる。

 

 

明らかに俺を煽りにきていた。

 

 

というか、

楽しそうにしているのがムカつく。

 

「勉強は楽しいんだよ!」

 

っていうイメージを刷り込みにきてるのか。安直すぎるな。まあ両隣の不気味な存在に軽く脅されてるっていう可能性もあるけど。そう考えると許せるわ。すまん。

 

 

とにもかくにも、

怒られずに済む方法を模索した。

 

しかし、どんな思考の順番を踏んでも

 

「解答を見る」

 

しかなかった。

 

ゲームを消し、

ただちに問題集を開いた。

 

基本的に、

解答のありかには3パターンあることを

俺は熟知していた。

 

・ページごとに設定されているもの

・セクションごとに設定されているもの

・巻頭、巻末にまとめて付録されているもの

 

だ。

 

パターンを把握していた俺は勝利を確信し、

本を軽快にパラパラとめくり始める。

 

そして巻末に差しかかると、

 

 

「解答は次のページから!」

 

 

という文字が。

 

救われた気持ちでページを開くと、

そこには、

 

ミシン目に沿って

明らかに何かが切り抜かれている痕跡があった。

 

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見事に、

一手先を読まれていた。

 

 

もしカイジのナレーターがいれば、

 

「しぃつうぅぃい!(失意)」

「ひたぁあんんん!!(悲嘆)」

「ぜぇつぼぉおお!!!(絶望)」

 

だ。

 

 

結局、

初日はこっぴどく怒られた。

 

2日目も、3日目も。

 

1週間後も。

 

メガネをかけている父親

長らく見なかった。

 

 

「もう怒られたくない」

 

 

そう決意したその日から、

変に父親に媚び始めた。

 

日々の生活がおかしなものになっていった。

 

仕事から帰ってくるのを、

大げさに笑いながら玄関で出迎えたり。

 

いつもやらないのに食器を片付けたり。

 

無駄に同調とか共感をしたり。

 

やたら明るい雑談を持ちかけたり。

 

根本的な原因は

 

「学力の低さ」

 

にもかかわらず、

そこから目をそらし続けた。

 

無理してた。

 

心が本当に休まる瞬間は

父がいないときだった。

 

 

「これじゃダメだ」

 

 

1ヶ月くらい経過して、やっと気付いた。

 

幼いながらも一つ、

自分の中で教訓を得た。

 

悩みから抜け出すには、

まず

 

「問題の本質にアプローチすること」

 

「そしてその本質の解消に徹底すること」

 

この順番を踏むべきであると。

 

父親との関係性が良好になるには、

勉強を頑張る以外にない。

 

そう痛感した自分は、

なんとか、怒られずに済むようになった。

 

「自分は変えられる」

 

大切な成功体験を得られたのだ。

 

ーーー

 

そして大人になった今、

 

「麻雀がやめられない」

 

という問題を抱えている。

 

代わりの趣味を見つけようと努力するが、

全部ダメ。

 

ダーツに行っても、

帰りに雀荘に寄る。

 

ジムに通っても、

帰りに雀荘に寄る。

 

携帯アプリで麻雀をしても、

リアルの麻雀をしたくなる。

 

こうしてブログを書いている時でさえ、

麻雀の題材を持ってくるくらい病気。

 

 

これはもう、

麻雀ができない環境を徹底するしかない。

 

策として、

 

①右手の人差し指をへし折る

②立ち入り可能なお店すべて出禁になる

③「ツ」「モ」「ロ」「ン」それぞれの発音のしかたを忘れる

 

などが挙げられるが、

どれも現実的ではない。

さてどうしようか。

 

そんなことを考えている今日この頃。

LINEが鳴るのを確認すると友人から

 

「21時から終電までどう♪?」

 

 

 

先ほど、

秒でOKを出したところだ。

 

 

ということで、

前述したものはすべて塗り替えたい。

 

断言しよう。

 

 

「人は変われない」

 

 

約束しよう。

君も変われない。

 

無理はよそう。

一緒に堕落しよう。

 

それか一緒に頑張ろう。